甘毒
Ver.猿野
犬飼が、牛尾キャプテンを殴った。
俺をかばって。
牛尾キャプテンは、犬飼に殴られた。
俺のせいで。
たまらなくなって、俺は二人の間に入った。
「やめろ!犬飼!!」
すると、二人とも息を呑んだ。
二人とも真っ青になった。
犬飼は言った。
「猿野…!」
牛尾キャプテンも言った。
「猿野くん…。」
二人の視線が俺に向き、二人の口が同時に開く。
だけど、声は出なかった。
でも同じことを言ったような…気が した。
「そこまで。」
「!」
その時、やっとと云うべきか。
この場で大人の役を正しくやるべき人物が現れた。
ヒゲ…いや、監督。
おせーんだよ、てめえ。
できるなら俺は、こんな目立つ所でこんな醜いことしたくもなかったしさせたくもなかった。
俺なんかのために。
そういえば、さっき二人は何て言ったんだ?
同じだとは直感的に思ったけど…
何を言ってるか、までは想像つかねえよ。
ごちゃごちゃ考えている間に、ヒゲは二人を連れて行った。
俺は二人がその時どんな顔してたのかも、知らなかった。
あいつを見る自分のように、すがりつくような眼を俺に向けていたことに。
俺は 気付けなかった。
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そのあと二人は部活中は戻ってはこなかった。
そのことで部活自体、あまり機能はしていなかったと思う。
そりゃ、エースとはいえ1年ボーズの犬飼があの牛尾キャプテンを殴ったんだもんな。
普通に考えても大事件だ。
犬飼の馬鹿野郎。
考えてみりゃ犬飼が退部させられる可能性もあるんだ。
それに気づいて俺は気が気じゃなかった。
俺のせいで。
俺のせいで…。
キャプテン。
なんで俺なんですか。
なんで俺に執着するんですか?
犬飼。
なんで俺なんだ。
なんで俺をかばったんだ。
なんで
どうして?
〜〜♪
ふと、着メロが響いた。
俺のだった。
部室のざわめきの中、俺は携帯を手にした。
そこに書かれていた名前は。
→犬飼 冥 →牛尾 御門
さて、こちらも何年ぶりかの続編です;;
時間をおいてこの話を打った結果とある結論を出しました。
ここから分岐します…;;
思ったより天国がどっちが好きなのか私自身もわからなくなってきたので;
どっちか一つにするより、二つにするほうがやりやすそうだと気付きました;;
紗希さま、もしこれを御覧になっていましたら、本当に申し訳ありません!!
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